午後から夕方だけ暑くなる部屋の原因と対策
午後三時を過ぎると、西向きの部屋だけ空気が重くなる。日が落ちても暑さが引かない。西日による暑さは、低い角度から差し込む日射が窓を通って入り込み、床や壁にたまることで起こります。ここでは、その仕組みと、窓の側でできる対策の考え方を整理します。
※本ページは、実際のお客様の事例ではありません。窓まわりの暑さでよくあるお悩みをもとに、一般的な原因と対策の考え方をご紹介するモデルケースです。効果や費用は、お住まいの状況により異なります。
西日で午後だけ暑くなる部屋は、低い角度から差し込む日射が窓を通って室内に入り、床や壁にたまっていることが主な原因です。日射を「入ってから冷やす」のではなく「入る前に抑える」考え方が有効で、気になる窓一枚から始めることもできます。
たとえば、こんなケース
たとえば、西向きに大きな窓のあるリビングを思い浮かべてみてください。午前中は日当たりがやわらかく、風も通って過ごしやすい。ところが午後三時を過ぎたあたりから、部屋の空気がじりじりと重くなっていきます。カーテンを引いても、布地そのものが熱を持ってしまう。夕方、そろそろ涼しくなってもいいはずの時間になっても、部屋の暑さがなかなか引かない。
築年数はさまざまで、戸建てでも集合住宅でも起こります。共通しているのは、西側に窓があること、そしてその窓が単板ガラスやアルミサッシなど、断熱性能の高くない仕様であることです。
これは特定のどなたかの体験ではなく、西向きの開口部を持つ住まいに共通して見られる傾向です。もしお心当たりがあれば、まず「どの窓から、いつ、どれくらい熱が入っているのか」を切り分けるところから考えてみてください。
こうしたケースで起こりがちなこと
西日の入る部屋では、時間帯によって体感がはっきり分かれるという状態が起こりがちです。
まず、部屋の使い方が変わります。夕方は家族が集まる時間帯でもありますが、リビングにいるのがつらくなり、別の部屋に移動してしまう。せっかく明るく開放的な窓辺があるのに、その一角だけソファや机を置けない場所になってしまう、ということも起こります。
冷房の使い方にも影響します。西日が差し込む時間に合わせて設定温度を下げる、あるいは早い時間から運転を始めておく、といった対応をとることになりやすい。それでも窓のそばに立つと、じんわりとした熱を感じます。冷房が動いているのに涼しく感じにくいという状態は、体感としてもどかしいものです。
そして、暑さが日没後まで残ります。外はもう涼しいのに、部屋のなかだけ温度が下がりきらない。窓を開けても、なぜかすっきりしない。この「時間差」が、西日の入る部屋の特徴的なつらさです。
なぜそうなるのか
理由は大きく三つあります。
一つめは、太陽の角度です。夏は太陽の高度が高いため、南向きの窓には日射が上から浅い角度で当たります。一方、夕方の太陽は低い位置にあり、西向きの窓にはほぼ真横から差し込みます。窓面に対して垂直に近い角度で当たるほど、その面が受ける日射の量は大きくなります。夏に一日を通して受ける日射の量で見ると、南面よりも東西面のほうが大きくなるのは、このためです。
二つめは、庇(ひさし)やベランダが効きにくいことです。庇は、高い位置から降りてくる日射を上から遮る仕組みです。真横から入ってくる西日に対しては、構造上どうしても遮りきれません。南側の窓では有効だった手立てが、西側では通用しにくいということになります。
三つめは、熱の入り口が窓に集中していることです。夏に室内へ入る熱のうち、窓など開口部からがおよそ七割を占めるとされています。
夏に室内へ入る熱は、どこから入るか
断熱性能の低い窓を持つ住宅のモデル試算
出典:日本サッシ協会「快適な住まい情報室 REPORT #01」(2025年7月)/前提:アルミサッシと単板ガラスなど、断熱性能の低い窓を持つ住宅のモデル試算。端数処理のため合計は100%になりません。
さらに、入ってきた日射熱は空気を温めるだけではありません。床や壁、家具に吸収され、そこに蓄えられます。蓄えられた熱は時間をかけて放出されるため、日が落ちたあとも室温が下がりにくくなります。夕方以降まで暑さが残るのは、この蓄熱と放熱の時間差によるものです。
対策の考え方
西日への対策は、「熱が入ってから冷やす」よりも「入る前に抑える」ほうが理にかなっています。入ってしまった熱は、空気だけでなく床や壁にも移っているため、冷房で取り除くには時間もエネルギーもかかるからです。
手段はいくつかあり、それぞれ向き不向きがあります。
遮熱カーテンやブラインドは、手軽に始められる方法です。ただし、これらは日射を室内側で受け止める仕組みです。カーテン自体が熱を持ち、その熱は室内に放出されます。まったく効果がないわけではありませんが、熱の侵入そのものを止めているわけではない、という性質は理解しておく必要があります。
すだれやオーニングなど、窓の外側で遮る方法は、室内側で受け止めるよりも合理的です。一方で、取り付け場所や見た目、風雨への対応といった制約が出てきます。
窓そのものの性能を上げる方法として、既存の窓の内側に内窓を設置する対策が選ばれます。既存窓との間に空気の層ができるため、窓まわりの熱の出入りを抑えることが期待できます。加えて、内窓に組み込むガラスには、日射を通しにくいタイプを選ぶこともできます。西向きの窓には、こうした日射を抑える性能を持つガラスが向いています。
なお、窓の向きによって適したガラスは変わります。冬に日射を取り込みたい南向きの窓と、夏の日射を抑えたい西向きの窓とでは、選ぶべきものが異なるということです。「西側の窓だから、この考え方」という判断ができるのは、窓ごとに仕様を選べる内窓の利点でもあります。
内窓のヨシハシではどう考えるか
私たちは、窓の話をする前に、建物の構造から確認することを大切にしています。
内窓のヨシハシが大切にしていること
「窓で直るのか」が先に分かる
原因が本当に窓だけなのかは、実際に見てみないと分かりません。屋根や天井からの熱が重なっていることも、部屋の使い方や冷房の配置が関係していることもあります。大工歴30年、二級建築士の監修という視点で、建物の構造から確認します。
つらい場所から、必要な分だけ
一度にすべてを進める必要はありません。窓一枚から、一部屋から、住まい全体まで。範囲を選べるようにしているのは、優先順位をつけて進めていただくためです。
窓のあとも、この家の相談先
創業1963年の吉橋工務店が母体です。窓の工事が終わったあとも、住まいの修繕や別の場所のご相談まで続けて対応できます。窓だけを売って終わりにしない、というのが基本的な姿勢です。
窓断熱/気になる窓一枚から始められる、最も取り入れやすい進め方です。
一部屋断熱/寝室やリビングなど、つらさの大きい一部屋をまとめて見直します。
まるごと断熱/住まいのすべての窓を対象に、家全体の快適性を高めます。
西日の場合、影響を受けている窓が特定できていることが多いため、まずその一枚から、という進め方が選びやすいケースです。「窓で直るのか」を先にお伝えできることが、私たちの役割だと考えています。
期待できる変化
窓からの日射熱の侵入を抑えることで、まず西日が差し込む時間帯の体感の変化が期待できます。窓のそばに立ったときの熱っぽさが和らぎ、窓辺を使える場所として取り戻しやすくなります。
床や壁にたまる熱が減れば、日没後に室温が下がりにくいという状態の軽減も見込めます。夜になっても暑さが引かない、という時間差のつらさに対しては、ここが効いてきます。
冷房についても、窓からの熱の出入りが抑えられることで、効率よく働きやすい環境になることが期待できます。ただし、変化の大きさは住まいの条件によって差があります。窓の大きさや枚数、部屋の広さ、現在の窓の仕様、建物の構造。これらの組み合わせで結果は変わるため、一律の数字でお約束することはできません。
なお、断熱によって室温が安定することと、健康との関連については、国土交通省の事業などで調査が行われ、報告がなされています。ただしこれは関連が報告されているという段階であり、治療や予防の効果をお伝えするものではありません。
費用と補助制度の考え方
費用は、窓の大きさ・枚数・選ぶガラスの種類・取り付けの条件によって変わります。同じ大きさの窓でも、既存の窓枠の状態によって必要な工事は違ってきます。そのため、現地を確認したうえでのお見積りが前提になります。
補助制度については、窓の断熱リフォームが国の「先進的窓リノベ2026事業」などの対象になる場合があります。東京都内であれば、これに加えて東京都の制度が関わることもあります。ただし、制度は年度によって内容が変わり、組み合わせられるかどうかも条件によります。
お住まいの自治体によっても事情は異なります。たとえば江戸川区には、窓の断熱工事そのものに対する区独自の補助金はありません。一方で、区が金融機関への融資をあっせんする制度があり、断熱性や遮熱性を高める工事は金利の優遇対象に含まれています。千葉県浦安市にお住まいの場合は、東京都の制度ではなく市の制度が関わります。
このように、使える制度はお住まいと工事内容で変わります。金額を一般論としてお伝えすることが難しいため、個別にご案内しています。
よくあるご質問
遮熱カーテンをすでに使っていますが、それでは足りないのでしょうか。
カーテンは日射を室内側で受け止める仕組みのため、カーテン自体が持った熱は室内に放出されます。効果がないわけではありませんが、熱の侵入そのものを抑えているわけではありません。窓の位置で抑える方法と組み合わせると、役割が分かれて働きやすくなります。
西側の窓だけ対策しても意味はありますか。
西日の影響が特定の窓に集中している場合、その窓から始めることには合理性があります。むしろ、どの窓が効いているかが分かっているケースは、優先順位をつけやすい状況といえます。ただし、他の要因が重なっている可能性もあるため、現地での確認をおすすめしています。
内窓を入れると、部屋が暗くなりませんか。
ガラスの種類によって、光の入り方は変わります。日射を抑えるタイプのガラスは、熱の元になる波長を抑える設計になっており、視界の明るさをどこまで保つかは製品によって幅があります。実物をご覧いただきながらお選びいただくのが確実です。
冬は西日で暖かいのですが、遮ると寒くなりませんか。
窓ごとに考え方を変えられるのが、内窓の利点です。夏の暑さを重く見るか、冬の日射取得を重く見るかは、その部屋の使い方によって判断が分かれます。方位と使用時間帯をうかがったうえで、ご一緒に整理していきます。
まずは、ご自宅の状況を確かめてみませんか
「うちはどのタイプだろう」と思われた方は、いくつかの質問にお答えいただくことで、住まいの傾向を整理できます。
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